単純な場所

sophisticated girl; plain space

パッセンジャー57

『凶笑面』を読む。北森鴻という人の小説を読むのは初めてだし、小説は長ければ長いほどいいと考える人間にとって、新潮エンターテイメント倶楽部SSという叢書は通常、縁が無い。何しろSSはSchutzstaffelにあらず、Short Storiesの略である通り、短編集のシリーズなのである。とはいえ、献辞に諸星大二郎先生の「妖怪ハンター」に捧げるとあっては読まない訳には行かない。1400円は高いなぁと思われても、だ。

案の定、切れは悪くないにせよ、短編であるが故の不完全燃焼は免れ得ず。『不帰屋』のネタなどは短編で使うのが惜しいと思われる程で、連作短編の定石を疎かにすることもなく、決してレベルが低いという訳ではないのだが。

『パッセンジャー57』を観る。「髭を剃れ、髭を」と8年前のウィズリー・スナイプスに呟いてみたり。

一度といわず、観たことがある作品だったことに気がついたのだが、筋の方はあらかた忘れている。低予算風の工夫した作りに案外、いいじゃないかと感心しても、言ってみれば単純な話である。今回もいつまで覚えていられることか。

Published on: 2000/5/21

Categories: 映画