ブラインドネス
『ブラインドネス』を観る。『白の闇』の映画化。骨太の原作に相応しく、既にして大家の印象のあるフェルナンド・メイレレスの監督作品であり、いつものように深みのある色調と時折、光量の溢れる画面が例によって作家性を感じさせる。後半は何故かその手跡が希薄になってしまうにして。盲目をもたらす謎の病に対してとられる隔離政策、その収容所を舞台にした極限状況が、物議を醸しそうな感じに描かれているが、本邦で佐藤哲也が『妻の帝国』においてとったアプローチのほうが、テーマを明確にしていたのではないかという気がする。パニック映画を期待する向きには物足りないはずだが、そもそもそのような素性のものではない。
Published on: 2009/4/7
Categories: 映画