該当なし
昨日発表された第173回の芥川賞と直木賞は、27年ぶりにそろって受賞作なしという結果になったそうである。何かが足りないという芥川賞、それぞれが拮抗という直木賞の選考のコメントは、どちらもそれっぽい雰囲気があっておもしろい。出版社からすると、かなり残念な結果ということには違いないとして。
候補となった作品の出来はともかく、文学賞として選ばれる物語が出にくくなっているのが、共同主観的な大きな情報のつながりが希薄になっている大局を映したものであるというのであればこの話は一層、興味深い。分断がすすんだ世界に大きな物語が必要ないというのであれば、この帰結は一時的なものではないということになる。さきの芥川賞では生成AIの執筆への利用が話題になっていたけれど、そのあとの展開がこうなのだから、何やら象徴的な気がするのである。
Published on: 2025/7/17
Categories: 日々