禁忌の子
『禁忌の子』を読む。2025年本屋大賞で第4位となった医療系のミステリーで、現役の医師が書き鮎川哲也賞を受賞したデビュー作だという。登竜門としての文学賞を獲った作品を好んで読んだ時期もあったのだけれど、なにしろ最近ではミステリーそのものから遠ざかっているので、このあたりの収穫にもとんと疎くなっており、本屋大賞はわかりやすい指標なのでありがたい。
設定された謎は懐かしの新本格を彷彿とさせ、密室の解明はシンプルに論理重視なのが好ましく、終盤の展開には十分な意外性があって全体としてよくできている。お約束のキャラクター設定にはどうなることかと思ったのだけれど、本屋大賞がいうように、これはこれでいいのではなかろうか。さくっと最後まで。
Published on: 2025/8/30
Categories: 本