見知らぬ明日
小松左京『見知らぬ明日』を観る。新疆ウイグル地区での不穏な動きを導入として語られる宇宙人襲来の物語。作者の関心はサイエンスフィクションというよりは政治状況のシミュレーションにあって、主人公らしき役回りの新聞記者はいるけれど、何かの役に立つということは一切なくて、週刊誌連載という出自からかやたら濡れ場があって笑える。やや唐突なクライマックスは連載の都合だろうけれど、スケールを醸し出して悪くない。
この小説が書かれたのは50年以上前になるけれど、登場人物を駆動しているのは現代とは別のOSという印象もあって、時代につれて人間の思考そのものはだいぶ異なるのだろうと考えると楽しい。ところで、この小説はかつて読んだことがあるのではないかと思っていたのだけれど、ただの思い込みだったかもしれない。
Published on: 2025/9/21
Categories: 本