単純な場所

sophisticated girl; plain space

オッペンハイマー

『オッペンハイマー』を観る。これまで何度か観ようとはしていたのだけれど、導入の量子物理学的幻想のあたりで挫折していたのである。キリアン・マーフィーの演技には、なにがしか陰鬱な気分をもたらす現実的な作用がある。しかし監督・脚本・製作がクリストファー・ノーランであるからには、必ずやそれを乗り越えようと考えて、はや1年。原作はマーティン・J・シャーウィンの『American Prometheus』で20年以上の取材にもとづくという、これも大作。

物語は、奸佞というべきルイス・ストローズの罠にはめられて赤狩りの審査会で吊し上げられる話を横軸として、マンハッタン計画の経緯を縦軸として語られる。ストローズを演じたロバート・ダウニー・Jrはめずらしく年相応の役回りでオスカーの助演男優賞を獲得しており、豪華なキャストのなかでも際立った演技をみせている。マンハッタン計画の舞台となったロスアラモスの再現もトリニティ実験も案外、大規模な感じはなくて、全体に人間心理にフォーカスした作品という感じがある。

そういう点では、ゲイリー・オールドマンの演じたトルーマン大統領は短い出演時間ながら特筆すべき迫力で、チャーチルでアカデミー主演男優賞を獲ったことを踏まえても、やはりこの存在感は大したものなのである。

All the buck stops here.

と言い出しそうなセリフもいい。

Published on: 2025/12/28

Categories: 映画