帰れない探偵
柴崎友香『帰れない探偵』を読む。タイトルに探偵とはあるけれどミステリではなく、ポール・オースターみたいなファンタジックな雰囲気のあるモダンな小説で、カフカを引用しているところがある通り理に落ちる話でもない。日本とおぼしきあの国は、戦争も騒乱もないまま体制がかわり、他国とは経済だけでつながった国になっている。この国に帰れないまま異国での仕事に従事する探偵が主人公で、この雰囲気は悪くない。詩のような喚起力で、時間と空間の感覚をつくっている。今から十年くらいあとの話、この国がどうなっているだろうかとも考えたことである。
Published on: 2026/2/20
Categories: 本