アドレセンス
Netflixで『アドレセンス』を観る。イギリスの少年犯罪を題材としたサスペンス。犯人が誰かではなく、なぜ起きたのかが社会的な文脈で語られる。自白によってではないというのが秀逸なところで、脚本の意図と語り口は巧妙。シリーズは全4回と短めだけれど、各話1時間程度の尺はカット割なしの長回しでつくられ、驚くほど手が込んでいる。ドローン空撮に引き継がれるシーンもあったりするので、いったいどのように撮ったのかという興味だけでも観られるくらい。実際に綿密に設計されたワンカット撮影だったらしいのだが、役者の仕事も相応の緊張をともなうものに違いない。必然的に少年の登場が多いのだが、どれも大したものである。
それが早熟なサイコパスによる犯行であったなら、むしろよかったと思わせるように話はすすむ。マンスフィアという言葉をキーワードとしてこのドラマは語られているけれど、フェミニズムやリベラルへの嫌悪と近接し、格上として振る舞わなければナメられると考える粗暴な傾向は、トランプを大統領にしている社会全体の潮流でもあって個人の犯罪の話にとどまらないのである。
Published on: 2025/9/27
Categories: 映画