国宝
『国宝』を観る。2025年にヒットした当作を早速、無造作に配信し始めるのは、いかにもPrime Videoらしい。吉田修一の原作も読んでいたので、映画館に行きたい気持ちもあったのだが174分の長尺である。原作のほうも人間の半生を扱った長大なものだから、だいぶ要領よく刈り込んだものとなっていて、小説の主要キャラクターである徳次もこちらにはほとんど登場しない。
小説と映像の出来栄えはそれぞれが秀逸といえ、この映画の画面も終始、美しい。俊介の失踪の場面は『曽根崎心中』とのシンクロによって語られ、映像的な見どころは多いものとなっている。歌舞伎の演目と同様、繰り返し現れる人間の業のようなものは映像では視覚的なパターンとして暗示され、より深くを語っているようにも見える。クライマックスにおいて、遠く窓外に降る雪は見逃してしまうほどさりげないものだが、もちろん意図のあるものに違いないのである。
李相日監督が吉田修一の小説を映像化するのは『悪人』『怒り』に続いて3度目だけれど、本作は小説と映画のどちらから入っても互いに補完する対のような構造があり、劇中の喜久雄と俊介の関係を想起したものである。是非とも双方を履修すべきだろう。
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